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着物大事典
凛とした着物姿は、美しい所作とともに女性を魅力的にしてくれるものです。しかし、胸が大きくて何となく似合わないと考え、着物を諦めている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、胸が大きい人の着物姿のポイントとキレイに着こなす補正方法をご紹介します。ほんの少しの工夫で着物姿が変わりますので、ぜひ参考にしてみてください。
一般的に美しいとされている着物姿は、筒型の寸胴体系です。そのため、ふくよかな胸など洋装であればスタイルがよいとされる場合でも、着物姿ではバランスが悪くなりがちです。その理由としては次のようなことが挙げられます。
・太った体形に見える
胸が大きい場合、着物姿では太った体型に見えがちです。特に横から見た場合、上半身のボリュームが出過ぎてしまう傾向があります。また、胸が大きな人が胸をつぶさずに着付けると、年齢以上に老けた印象に見える場合もあり、せっかくの華やかな着物姿がイメージ通りに着こなせない原因にもなってしまいます。
・胸が帯に乗っているように見える
胸をつぶさずに着付けると、帯を締めた胴回りよりも胸が出てしまうため、胸が帯に乗っているように見えてしまいます。これによって、帯周りが窮屈にも見えたり、立ち姿のバランスも悪く見えたりします。
・襟元が着崩れしやすくなる
胸元が膨らんで安定していないと、襟元がはだけて着崩れしやすくなります。着物の襟もとは、一度ゆるみが生じると容易に直せないため、どんどん着崩れてしまう恐れがあります。特に襟元は、着物の着こなし方の第一印象を決める大切なポイントの一つです。
・上半身にシワが寄りやすい
着物のサイズにもよりますが、胸が大きい場合は上半身の着物部分にシワが寄りやすくなります。胸から肩、胸から腕の周囲にシワができやすく、着物の柄が隠れてしまったり、シワが寄ることでさらに胸が大きく見えたりすることがあります。
前述のような課題を解決して美しい着物姿を実現するには、胸つぶしの補正をおすすめします。胸つぶしの補正をすることによって、次のようなメリットが生まれます。
・すっきり見える
美しい着物姿とは、背筋がピンと伸びて凛とした立ち姿のことです。胸つぶしの補正をすることによって、理想的な筒型、寸胴体系を作り出し、すっきりとした着物姿に近づきます。必要以上に胸が目立たなくなり、ボリュームを抑えられるでしょう。
・着崩れしにくくなる
胸つぶしの補正によって、着崩れも防ぐことができます。胸が安定しますので、胸元、襟元がはだけにくく、しっかりと固定された美しい襟元の着付けがしやすくなります。
それでは、具体的にどのような方法で胸つぶしの補正をするのかを見ていきましょう。ぜひ着付けの際の参考にしてみてください。
・1. 腰のくぼみにタオルを当てる
はじめに腰の補正です。腰のくぼみの背中側に四つ折りタオルを当てて、一度紐で固定します。一般的には、ウエスト部分がくびれている体形の方が多いですから、胸の補正に限らず腰回りの補正は行ったほうがよいでしょう。おしりの一番高いところより少し上の位置までを補正します。
・2. ウエストの細い部分をタオルで一周する
腰のタオルの上からウエストのくびれ部分に、縦半分にしたタオルを一周巻きます。タオルの上端は、アンダーバストにかかる程度の位置です。腰回りが筒状になるイメージで巻くとよいでしょう。
あらかじめベルト状になった補正用パッドもありますが、タオルや手ぬぐいは体形に合わせて細かく調整できるメリットもあります。体形や着用の頻度に合わせて試してみてもよいでしょう。
・3. 三角にしたタオルを肩からウエストに向かって当てる
次は胸の補正です。タオルの端を三角に折り、輪になった部分を胸の内側に向けて、一方の端を肩に、もう一方の端側を体格の腰に斜めにかけます。タオルを半分に折り返して再度端を三角に折り、もう片方の肩から対角に腰にかけます。V字型のように胸がタオルで押さえられるかたちになります。また、タオルの上から長襦袢(ながじゅばん)を羽織りますが、その際に襟元から補正タオルが出ないように注意しましょう。
・その他:アンダーバスト付近にタオルを当てる方法
補正をしてもバストとウエストの差が大きく出てしまう場合は、補正後にさらにアンダーバスト付近にタオルを当てる補正方法もあります。
アンダーバストの少し下付近に、縦半分に折ったタオルの山を少しすらしながら三つ折りにして当てます。紐で固定すると窮屈になりますので、和装下着に挟むなど工夫してみましょう。
胸が大きい人の着付けでは、帯の位置をほんの少し下げるとほっそりした印象に見えます。下げるコツは、両脇の位置はそのままに、中央のみ前下に出すように下げます。中央だけ帯と着物地の間に空間をつくるイメージです。ほかにも次のようなポイントに注意してぜひ試してみましょう。
・和装用ブラを着ける
胸が大きい人は、和装ブラジャーを着けることをおすすめします。和装ブラジャーが、胸のボリュームを抑えて平に補正してくれます。
よく着物では下着を着けないと耳にするかもしれませんが、実際は着物用の下着を着けて補正をした方が美しくなる可能性が高まります。しかし、普段から着用しているワイヤーやレースなど飾りの付いたブラジャーは避けましょう。帯を締めたときに肌に押し付けられて痛みが出てしまうかもしれませんし、締め付けで気分が悪くなる場合もあります。
・着崩れ防止のために補正は積極的に
着付けの際に補正をするのは、手間がかかるため避けたいと思う方もいるかもしれません。しかし、着物は体形カバーができる優れた機能を持ちますが、補正をしているか、していないかで着物姿がガラリと変わってしまうものでもあります。
美しい柄の着物は一番上に着用するわけですが、下着の補正、長襦袢の整え方が最後に着用する着物の着姿に影響します。ほんの少しの手間で理想の着姿に近づきますので、ぜひ積極的に補正を取り入れることをおすすめします。
今回は、胸が大きい方の着物の着付けのポイントや補正の手順、着付けの注意点などをご紹介しました。胸をつぶして補正し、着物の理想的な寸胴体系に近づけることで、美しい着物姿にすることが可能です。ぜひチャレンジしてみましょう。
もし、ご自分の体形に合う着付けの補正の方法や着こなし方でお困りのことがあれば、VASARAまでお気軽にご相談ください。
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