MENU CLOSE
着物大事典
着物の着付けには必要なアイテムがありますが、種類が多く、何が必要なのかわからないという方は多いでしょう。着物を着るときには帯や長襦袢だけでなく肌着や腰紐、伊達締め、補正パッドなど表には見えない多くのアイテムが必要です。
着付けの流れとともにどの順番でどのアイテムを使うかなどを把握できると着付けが楽になります。今回は着付けの手順と必要なアイテムについて解説します。不足しているアイテムがあれば買い足しておきましょう。
着付けに必要なアイテムをそろえたり、着物のしつけを取ったり準備しておきましょう。事前にチェックしておくと着付けがスムーズにできます。
着付けに必要な専用のアイテムを正しく使うことで、きれいな着姿になり着崩れしにくくなります。
基本のアイテムは次の通りです。
着物は事前にタンスから取り出し、虫食いやカビなどがないかチェックしましょう。防虫剤のにおいが気になるときは早めに出してにおいを飛ばします。着物をハンガーにかけ陰干しすると、においやシワが取れます。着物を着る前日にかけておくといいでしょう。ただし長時間着物をハンガーにかけると生地が伸び、裏地とのバランスが悪くなるため注意が必要です。
半襟は前日までに長襦袢へ縫い付けておきます。刺繍が施してある半襟は柄がきれいに見えるよう縫い付けましょう。
仕立て上がりの着物には袖口から袖底にかけて、身頃は上前の立褄から裾を通り下前の立妻までしつけが付いています。粗くざっくりと縫ってあるしつけは取っておきましょう。ただ、礼装用の着物で留袖や色無地などに施されている細かい縫い目の「縫いじつけ」は取らないように注意してください。
着物を着るときは長襦袢の下に着物用の肌着を着用します。汗が着物や長襦袢へ付きシミにならないよう吸汗性に優れたものを選びましょう。季節によっては暑さや寒さ対策を考えて素材を選びます。
着物を着るときは肌襦袢や着物スリップなどの肌着を着用します。肌襦袢がない場合、襟元から見えないキャミソールなどでも代用が可能です。後ろは衣紋を抜くため背中が大きく開いているタイプをおすすめします。ただし肩紐が細いタイプは、ずれやすいため避けましょう。
裾よけは腰巻タイプ、スカートタイプ、ステテコタイプなどがあるので着やすいものを選びます。ステテコタイプは裾さばきがよく、着物初心者にはおすすめです。肌襦袢と裾除けは二部式タイプですが、ワンピースタイプの着物用スリップもあります。
肌着の下には和装用ブラジャーと和装用のショーツを着用しましょう。和装用ブラジャーには、着付けたときに胸が平らになるように補正する役割があります。普段身に付けている洋服用のブラジャーでワイヤーや飾りが付いているものなどは不向きです。カップ付きインナーやナイトブラ、スポーツブラなどで代用できます。
着物を着付ける前に、まず足袋を履きます。足袋を履くときは座ったりひざを立てたりするため、着物を着た後では着崩れの原因になります。また二部式の肌襦袢と裾除けを着用する場合は、先に足袋を履くといいでしょう。ワンピースタイプの肌着を着る場合はどちらが先でもかまいません。
きれいな着物姿のためには体型の補正が大事です。筒形に着付けた寸胴の着物姿が美しいとされています。タオルや補正パッドを使ってくびれている部分が平らになるように整えましょう。ウエストまわりにはタオルや補正パッドをあてます。着物の合わせ方と同じように下前から巻いていき上前に重ねてください。
肩から胸にかけては薄手のタオルや手ぬぐいなどをV字にあてます。胸はつぶすようにして、なだらかに整えることが大事です。必要な場所に適切な補正をすることで美しさが決まります。着崩れを防ぐためにも体型の補正は欠かせません。ただし、補正が多すぎると太って見えるため注意しましょう。
長襦袢は着物の下、肌着の上に着用します。袖口や振りから見えることも考えて、柄や色を着物とコーディネートして楽しむといいでしょう。
長襦袢を羽織ったら片方の手で前中心に合わせて両襟を持ちます。もう片方の手で背縫いを持ち背中の中心線と合わせてください。最後に背中の真ん中と長襦袢の背縫いの線が合っているのを確認出来たら背縫いを下に引きます。
背縫いを下に引き衣紋を抜き、肌襦袢の襟に長襦袢を重ね下前を合わせます。バストを包み込むように上前を合わせましょう。襟元はのどのくぼみが少し隠れる程度が適切な位置です。アンダーバストの位置で紐をまわして前で結びます。後ろの紐に指を入れて背中のシワを整えながら衣紋を整えます。
衣紋(襟の後ろの空き具合)は詰めすぎると子供っぽく、抜きすぎると品がなくなるため注意しましょう。おしゃれ着では衣紋の抜き具合は好みで調節します。フォーマルな着物では多めに衣紋を抜くと優雅で華やかです。
胸紐を結んだ上に伊達締めを巻きます。伊達締めの中央を体の前にあて、左右の伊達締めを後ろに回しましょう。左右の伊達締めを交差させ、上に重ねた伊達締めを折り下げて交差部分を平らにします。襟元にシワがないか確認しましょう。
長襦袢を着たら次は着物を着ていきます。着物を着付けるときに長襦袢が着崩れることがありますが、最後に手直ししましょう。
着物を羽織る前に襟幅を半分にし、背縫いの上または襟肩明あたりに付いているスナップをとめておきましょう。長襦袢の襟をつぶさないように、着物を後ろから肩にかけます。袖を通すときは長襦袢の袖を持って一緒に通すとスムーズです。左右のかけ襟を体の中心に合わせ、背中心を合わせます。
腕を下ろした位置で襟を持ち、腕を前に出します。背中とお尻に着物を当てて着物の裾全体を持ち上げましょう。静かに下ろし床すれすれの位置で裾線を決めます。長襦袢や裾線の位置はあとで微調整できるため完全でなくてもかまいません。
左の脇縫いが体の真横にくるように上前幅を調整します。左肘で押さえて上前幅をキープし、そのままそっと開いて下前を脇に入れましょう。下前は無理に奥へ入れないように、余りは手前に折り返すとすっきりとしてきれいです。脇を締めて肘を内側にし、自然に褄が上がるように調節します。下前の褄先は床から15cm程にしましょう。下前に上前を重ね、褄先は床から7〜8cm程度上げます。
裾線の最終的な位置を決め腰紐を巻いていきます。腰紐の中央を持ち、右の腰骨にあてましょう。へその下を通るように後ろへまわします。腰紐を背中で交差させ、たるまないようにしっかり巻くことが大事です。ここできちんと締めることが着崩れ防止になります。腰紐を前に回し、右前で結びましょう。
着物が腰紐に引っかかっていないかチェックして、おはしょりを作ります。脇の身八つ口から両手を入れ前のおはしょりの中を整えましょう。手を入れたまま後ろへまわし、後ろのおはしょりのシワをのばしながら中の布をまっすぐにならします。
左右のかけ襟を体の中心で合わせ、長襦袢の襟に沿って着物の襟を整えます。下前の襟幅を折り、着物ベルトをアンダーバストから指3本分程度下に留めましょう。着物ベルトを後ろから前へまわし、上前の襟に留めます。
胸紐は伊達締めを巻く前にアンダーバストで結びます。背中のシワやおはしょりを整えましょう。最後に胸紐の上に伊達締めを巻きます。伊達締めを前から後ろにまわして交差させ、下側の伊達締めを斜めに折り上げ前に回しましょう。2回ねじり左右に分けて右は伊達締めの上から、左は下から挟み込みます。
帯結びにはさまざまな結び方があります。フォーマルとカジュアルでは結び方が異なりますので注意しましょう。こちらでは主な帯結びについて説明します。
帯結びは帯の種類や柄などに合わせて好きな結び方を楽しみましょう。ただし、帯にも格があるため注意して選ばなければなりません。
二重太鼓結びは袋帯を使って結ぶお太鼓結びで、格が高い留袖や訪問着などの礼装に用います。喜びが重なるようにという意味がこめられ、入学式や卒業式などおめでたい席にふさわしい帯結びです。
一重太鼓結びは名古屋帯で結ぶ、もっとも基本的な結び方です。素材や柄によって礼装からカジュアルまで幅広く使えます。不祝儀の際は不幸が重ならないようにと一重太鼓結びにしましょう。
角だし結びはお太鼓の左右に角が出ているような帯結びです。帯枕を使わず結ぶため、重心が下がりやわらかい印象になります。
銀座結びは角だし結びと似た結び方です。角だし結びは手先が下向き、銀座結びは手先が上向きになります。どちらも礼装には不向きで、カジュアルな着物に合わせる帯結びです。
帯揚げや帯締めはコーディネートを楽しむものですが、きれいな帯結びのために必要なアイテムでもあります。お太鼓の山を作る帯枕を包んで固定させる役割を持つのが帯揚げです。
帯締めはお太鼓に結んだ帯を固定する役割もあるため、しっかり結びましょう。帯を締めるときには着物クリップを活用すると巻きやすくきれいに仕上がります。帯締めは帯の上に結ぶためきつく締めても苦しくなりません。しっかりときつめに締めて帯から外れないようにしましょう。
着物を着るためには多くの手順をたどり難しいと感じることもあるでしょう。着物を着る前にシワをとっておく、必要なアイテムをそろえるなどの下準備をしておくと着付けがスムーズです。
裾線を決めたりおはしょりを作ったりと慣れるまでは大変かもしれません。着付けの順番通りひとつひとつ丁寧に進めていくときれいな着物姿に着付けられるようになります。着物に慣れるまではプロの手を借りるのもいいでしょう。
レンタル着物のVASARAでは、選んだ着物を着付けのプロがきれいにお仕度いたします。着物をレンタルした際にプロの着付けの技を盗んでしまいましょう。また持ち込みの着付けも可能ですので、ぜひ一度お気軽にご来店ください。
カテゴリー
タグ