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着物大事典
京都着物の歴史と成り立ちについて
古くから継承されている着物は、今や世界を代表する民族衣装の1つです。
その着物文化の中心といえるのが、都として繁栄した京都における着物の歴史でしょう。 今回は現代の着物へと通ずる、京都の着物の歴史と文化についてご紹介します。
着物の発祥は縄文時代、1枚の布を体に巻き付けるだけの巻布衣(かんぷい)、布に開いた穴に頭を通す貫頭衣(かんとうい)です。
その後、大陸文化の流入や、日本の気候に合わせると共に、現代の着物が形成していきました。
各時代において流行した着物文化があり、その時代背景を色濃く表しています。
平安時代では貴族が着用した十二単、室町時代では袖が短く動きやすい小袖、桃山時代は時代背景から小袖が豪華に変化しました。
江戸時代では現代の技法に通ずる染織が発達すると共に、髪型や帯の結び方、小物使いなどを楽しむ文化が生まれたのです。
その時代のすべてに京都が関係しており、日本の着物文化に大きな影響を与えているのです。
時代と共に変化してきた着物文化ですが、京都における独自の着物文化は京に都が遷都した、平安京の頃まで遡ります。
朝廷では絹織物の職人に織部司(おりべのつかさ)という役職を与え、色彩豊かな高級織物を生産する仕組みが作られました。
武家社会である鎌倉時代に突入すると、役職を持った職人たちはすべて解雇されました。
しかし、職人たちは大舎人町(おおとねり)に集まり、大陸の新しい技術を取り入れた質の良い織物を生産し続けたのです。
室町時代に入ると「大舎人座」という織物組合を立ち上げました。朝廷の他に、一般の公家や武家に向けた織物を受注し、生産してきた歴史があります。
しかし、室町時代の中期に京都を東軍、西軍に二分する応仁の乱が勃発。
その戦火を逃れるために離散した職人たちは、戦が収束すると共に、西軍の本陣だった場所で織物業を再開します。
大陸から伝わった高織(たかはた)という技術を取り入れ、染色した糸で色柄や文様を織り上げる紋織(もんおり)が誕生します。
西軍の地は「西陣」と呼ばれ、織物の一大生産地となりました。その紋織は「西陣織」として朝廷にも認められるようになったのです。
江戸時代に入り町屋文化が台頭すると、糸問屋や織屋を生業とする織屋街が形成されます。そして小袖の発展や、小物や紐で装飾する文化により、西陣の地は繁栄を極めるのです。
そして、呉服類の調達や作法を教える、「呉服所」という御用商人を各藩に置いていました。
やがて呉服所は呉服商として発展し、三越越後屋といった巨大呉服店が誕生します。
これらの呉服店は京都に本拠地を置き、大坂から江戸にも営業を展開したのです。
街道の整備と経済の発展により、京都が持つ織物の技術と文化が全国へと広まりました。
また、京都の着物が全国的に圧倒的支持を得たのは、技術や品質に加え、織物のデザイン性も理由の1つです。江戸時代に最も活躍した着物デザイナーは、後に画家としても大成する尾形光琳(おがたこうりん)でしょう。
光琳のデザインは梅や菊があしらわれているのが特徴で、「光琳文様」という名で絶大な人気を誇りました。
明治維新による階級制度の廃止と、富岡製糸場に代表される絹産業の発展がきっかけで、庶民でも絹の着物が身近なものになった時代です。
ねずみ色などの地味な生地に、京友禅の文様をあしらった着物が、幅広い年代の女性に好まれていました。
京都で大きく花開いた着物文化により、独自の織物が数多く展開します。
それらは現代の京都においても伝統産業として根付いており、重要無形文化財となっている織物もあります。
長い歴史の中で生まれた着物は次の5種類があり、それぞれの成り立ちと違いを見ていきましょう。
5世紀頃に豪族が発展させた養蚕と織物が起源であり、多くの色の糸を使用した絢爛豪華な色柄が大きな特徴です。
西陣織と一口に言っても12もの品種があり、色や柄にもそれぞれ違いがあります。
絹の生地を糸で括った状態で染色し、糸を解いたときにさまざまな文様が表れるのが絞り染めの特徴です。
京鹿の子は鹿の模様に似ていることから、その名が付きました。非常に手間暇がかかるため完成までに1年以上かかり、織物の中でも高額の部類に入ります。
8世紀に完成されていた染技法に、京都の扇絵師である宮崎友禅斉が手描きの文様をデザインとして取り入れた織物です。
色彩が豊かで、動物や器具などが絵画調に描く「友禅文様」が大きな特徴です。
また、明治時代では化学染料で友禅文様を紙型から写す「紙友禅」が確立したことで、京友禅はさらに発展を遂げました。
型染めという技法を用いた織物で、主に武士の裃(かみしも)に広く利用されていました。
小さく細かい小紋柄が一般的ですが、大きく大胆な文様が描かれているものまで、さまざまな種類があります。
結婚式など留袖、葬儀で着る喪服など、黒一色に染める伝統技法です。
気品と深みのある黒が特徴で、黒引染と黒浸染という技法が用いています。また、家紋は手描きと、紙型による型染めの2種類があります。
京都は日本の着物文化に多大な影響を与えていることを、おわかりいただけましたか?現代でも着物文化が途絶えないのは、伝統産業として着物を守り続ける京都の存在があるのです。
洋服が一般的になった現代だからこそ、着物文化に触れる機会を作ってみてはいかがでしょうか。
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