MENU CLOSE
着物大事典
はじめてのお宮参り。「大切な赤ちゃんとご家族とのライフセレモニーを滞りなくきちんとしたいけど、やり過ぎないようにしたい」「習慣やしきたりがあり過ぎて、どの情報を基に判断したら適切なのか迷ってしまう…」そんな声にお応えして、準備から当日までの流れに沿って必要な手順や気を付けるべきことなどを紹介していきます。
→この記事
→「お宮参りの衣装・服装(赤ちゃん/祖母/母親/父親/兄弟)編」の記事を読む
(作成:2019年3月10日)
赤ちゃんが生まれて初めて土地の守り神である産土神(うぶすながみ)や氏神(うじがみ)または仏閣に参拝し、お守りや数珠をいただいて子供の長寿と健康を祈る行事のことをいいます。お宮参りは、「初宮参り(はつみやまいり)」「寺参り」「産明け(うぶあけ)」「産土参り(うぶすなまいり)」「産土詣(うぶすなもうで)」、「産神詣(うぶがみもうで)」など、さまざまな呼び名がありましたが、現在では「お宮参り」と呼ぶのが一般的です。
昔は医療が今のほど発達していなかったこともあり、新生児の生存率がとても低かったため、赤ちゃんが無事に生まれて母親からの抗体(免疫力)が赤ちゃんの体内に残っている期間がおおよそ生後30日前後とされています。「子供が無事に生まれたことへの感謝」の気持ちをこめて神様に御礼の報告し、氏子(うじこ)の一員として認めてもらい、祝い着(掛け着)が着られるくらい大きくなるまで成長できるよう守ってもらうことをお願いすることがお宮参りのもともとの風習です。また、お産は「穢れ(けがれ)」と考えられ、お宮参りでの「参拝」・「お祓い」・「祝詞奏上」をもって忌明けとされてきました。30日目のころになると産婦の「産の忌(うぶのいみ)」が明けることから、この時期にお宮参りをするようです。ですので、ご自宅がある地域に産土神や氏神が複数ある場合はすべて参拝するのもよいとされています。関東では「おびあき」、九州では「ひあき」、山陰では「しめあげ」と呼ばれたのもこうした意味合いからといわれています。
初宮参りの参拝方法は、地域によってしきたりや慣わしがさまざまですが、神社に参拝して、土地の守り神である産土神や氏神に参拝するほかには、母親の安産のお礼も兼ねてお宮参りをする風習もあります。その際に安産の神様で好まれている神様といえば「水天下宮」がよく知られています。水天宮は安産、子授け、子育ての神様であることから、全国各地の水天宮では、安産のお礼と、赤ちゃんの健やかな成長を祈るお宮参りを合わせて一緒にお参りする風習もあります。水天宮以外でも著名な神社が好まれているようですが、ご家族で相談しても決められなかったり、迷ったときには、「新しい家族を氏神様(その土地の神様)に紹介する」という本来の意味を大切にすると同時に、生後間もない赤ちゃんに負担をかけないためにも、地元の神社に参拝するのがよいでしょう。
重要なのは、あまり仰々しく考えず、ご家族で相談し、赤ちゃんの体調を第一優先にした上で決めることです。
男児は生後30日から32日目、女児は生後31日から33日目に行うのが通例となっていますが、地方によっては30日目から100日目までと様々です。
このように、一般に通例となっている日はあるものの、あまりこだわり過ぎずに、生後1ヶ月を目安に、赤ちゃんの体調・機嫌のよい日、天候に恵まれた日、母親の体調やお宮参りへいらっしゃる祖父母の都合などを考慮して日程を決めるとよいでしょう。ただし、新潟や北海道などの雪深い地域に冬に生まれた場合など地域と季節によっては生後1ヶ月以内にできない場合もあります。
そういった場合は無理して参拝する必要はなく、ご家族で相談して決めて問題ありません。ただし、生後一か月以降に参拝する場合は母体からもらう免疫(抗体)が徐々にうすまり、赤ちゃん自身の免疫(抗体)を育んでいく時期に入りますので1ヶ月検診を済ませてから参拝することも選択のひとつとしておいた方がよいでしょう。中にはお日柄を気にされる方もいるかもしれませんが、特に六曜(ろくよう)を気にする必要はありません。六曜よりも赤ちゃんと母親の体調を第一優先に考えた上で気にする程度でよいでしょう。その場合、天赦日、一日万倍日、大安、先勝の日の午前、先負けの日の午後などが好まれます。
どれくらい伝統やしきたりに倣って参拝したいかにもよりますが、以下のような準備をする参拝が慣わしとなっています(一部)。小物は最近ではAmazonや楽天などのネットショップからも手軽に購入できるようになりました。
お祓いや祝詞奏上の謝礼は、社務所の規定通りでよいとされており、相場としては3000円から1万円程度とされています。お宮参りの神社へのお礼は、紅白もろなわ結びの祝儀袋を使用し、表書きの種類は「御初穂料(おんはつほりょう)」または「御玉串料(おんたまぐしりょう)」と書き、名前には赤ちゃんの姓名を書きます。
②小物
小物に関しては販売している場所を探す必要がありますが、最近ではインターネットから購入が可能になっていますので3日~1週間程度余裕を持って購入しておけば余裕を持って準備できます。小物を準備するかどうかは地域ごとの習慣やしきたりによって様々ですが、伝統やしきたいりを大事にしたいご家族の中での最近の傾向としては「犬張り子」「奉納扇子(熨斗扇子)」「でんでん太鼓」「紐銭」を用意するケースが多いようです。この4つの他にも、お守り袋をつける地域もあります。
紐銭は当日おこなうことなので事前の準備に時間はかかりません。当日、両親から赤ちゃんへのご祝儀として一つ贈る以外では、親族や知人やご近所の方から追加でご祝儀をいただくことがあるかもしれません。紐銭は名古屋の熱田神宮が発祥で「1年12ヶ月(一生)、子供がお金に困らないように」という願いを込めて、親族・知人・ご近所の方から赤ちゃんへの初めてのご祝儀として5円(ご縁)または50円(ご重縁/縁が重なる)を12枚(うるう年は13ヶ月なので13枚)紐で結び付けて贈ったことが起源と言われています。関西エリアでは帯銭(おびせん)とも言われています。最近ではお祝儀として1000円・3000円・5000円のいづれかの金額で贈るのが一般的となっており、熨斗付きの紅白または金銀の水引で、かつ蝶結びのご祝儀袋の上部に穴をあけて麻で他の小物と併せて結びつけます。参拝中に落とす恐れもあるので、中身をポチ袋に入れ替えてご祝儀袋だけ結びつけておく方もいます。ご祝儀袋には「紐銭」「御紐銭」「帯銭」「御祝」のいづれかを書きます。水引きの下には贈り主の名前を書きます。赤ちゃんの初めてのお小遣い・おひねりという意味合いが本来であるため、紐銭・ご祝儀へのお返しは必要ありません。紐銭の相場以上の金額をいただいた際には、赤ちゃんの写真と一緒にお菓子などを贈ると喜ばれます。
次は衣装についてみてみましょう。
カテゴリー
タグ