MENU CLOSE
着物大事典
大切なお子様の節目の一日となる入学式。晴れやかなこの日に、着物を着ていきたいと考えているお母様も多いのではないでしょうか。
しかし普段あまり着物を着なくなった今、「どのような着物を着ればいいの?」「小物は何を合わせる?」「着物を着て浮かない?」そんな不安もありますよね。
そこで本記事では、入学式で着物を着るにあたって押さえておきたいポイントや注意点についてご紹介します。
まず、入学式に着物を着ていくこと自体は問題ありません。むしろ格式高い装いである着物は、式典にぴったりの服装といえるでしょう。
ただ、地域や学校によっても特徴があるため「一人だけ着物で浮いてしまったらどうしよう」という不安もあるかもしれません。そこでまずは、地域や学校による違いについてご紹介します。
入学式に着物を着ている人の数は、地域によって差があります。地方だと着物を着ている人の割合が高くなり、都心に近くなるほど低くなる傾向にあるようです。また、住んでいる地域が着物や織物の産地かどうかも影響するでしょう。
ネットリサーチのDIMSDRIVE『きもの』に関するアンケートによると、着物の着用シーンに関して以下のような結果が出ています。
『きものを着たことがあると回答した方(N=5370)に「一番最近で、きものを着たのはどんな時でしたか」と尋ねたところ、“結婚式”33.8%、“成人式”19.6%、“正月”15.2%であった。自由回答では、“入学式・卒業式”が多く、“お宮参り”、“結納”などがあげられた。』
引用:ネットリサーチのDIMSDRIVE『きもの』に関するアンケート
この調査結果から、着物を着たことがある人のうち、入学式・卒業式に着物を着た人は15%以下と推測できます。さらに、20歳以上の女性の95.1%が着物を「着たことがある」と答えているため、入学式での着物の着用率は1割前後になるのではないでしょうか。
私立の学校では母親の服装が決められている場合もありますが、公立の学校では服装は基本的に自由です。
注意しておきたいのは、その学校における独自のドレスコードのようなもの。なかには、暗黙の了解で「式典での母親の服装は黒か紺のみ」という学校も見られます。
明確な決まりがなければ、何を着ても自由です。しかし、浮いてしまうことが不安な場合は、先輩ママに入学式の服装について相談しておくと安心です。
先ほどの調査結果からもわかるように、着物の着用率は1割前後かと推測できますが、私立学校の場合は割合が大きく前後する可能性があります。
一言で着物といっても、さまざまな種類や格式の違いがあります。着物は基本的に格が高い衣服ですが、着方を間違えると、浮いたり、品を損なったりする可能性があります。
ここでは、入学式に最適な着物についてご紹介します。
訪問着は、祝儀で着用される留袖(とめそで)の次に格が高い着物です。模様が一枚絵のように入っているため、華やかで上品な印象になります。
訪問着は入学式にもよく着られています。紋付きだとより格式高く、紋なしだとカジュアルになります。訪問着を着用する際は、半襟は白、帯は袋帯を合わせましょう。
訪問着は、未婚・既婚を問わずに着ることができます。入学式に限らず、結婚式のゲストやパーティーなど、さまざまなシーンで使えるので、一着用意しておくと便利です。
入学式は華やかな席なので、訪問着は明るい色や柄のものがおすすめです。ただし、コーディネートが派手になり過ぎないよう注意しましょう。
色無地は、一色で染めあげた無地の着物です。紋を入れなければおしゃれな普段着として着ることができ、紋を入れると格上の礼装としてセミフォーマルな席にもふさわしい装いとなります。
色無地の紋の数は通常1つですが、紋を3つ以上入れると訪問着より格式高くなります。シンプルな色無地は、入学式の主役である子どもを引き立たせ、上品な印象を与えられるでしょう。
入学式などのお祝い事では、明るい色の色無地に、袋帯を合わせます。暗い色や名古屋帯は凶事に着用するもののため、入学式では着用を控えましょう。
付け下げは、絵柄が一枚絵のようにつながった訪問着と違い、絵柄がつながっていない着物のことです。付け下げは、戦時中に訪問着の華やかさを落とすために作られたという背景があります。
付け下げは、訪問着に次ぐ格式高い装いのため、入学式にも着用可能です。付け下げは、訪問着よりも控えめで、色無地よりも華やかな印象になります。着用についても、未婚既婚を問いません。
入学式は子どもが主役なので、母親は付け下げなどの柄が控え目な着物を着る方が良いという考え方もあります。
付け下げには、織りの名古屋帯を合わせても良いですが、一般的には袋帯を合わせます。
着物は種類によって着用する季節が決められています。着物を選ぶ際は、季節に合うものを選ぶようにしましょう。
着物は仕立て方によって袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、絽(ろ)の3種類に分けられます。それぞれの特徴や着用シーズンについて見ていきましょう。
袷は、胴裏(どううら)や八掛(はっかけ)の裏地を付けて仕立てられた着物です。
袷は風を通しにくく、透け感もないため、オールシーズン着用可能です。また、袷は裏地があることで生地にハリ感が出るため高級感があり、慶事に向いています。
入学式が行われる4月は、肌寒さの残る季節の慶事ということで、袷を着るのが一般的です。
袷について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
『※「着物 袷(No47)」の記事タイトル』
単衣は裏地のない薄手の着物で、春秋に着用します。一重仕立てのため、袷よりも通気性が良いという特徴があります。
浴衣や絽は7月~8月の盛夏に着用されることが多いですが、単衣は季節の変わり目である6月や9月に用いるのが一般的です。
絽は、夏用の薄手の着物で、薄物(うすもの)とも呼ばれます。絽は単衣よりも薄手のため、風通しが良く、夏でも涼しく過ごせます。
絽はおもに7月~8月に着る着物のため、4月の入学式には着ていかないよう注意しましょう。
着物を着用する際は、ヘアスタイルも着物に合うよう整える必要があります。ショート、ミディアム、ロングといった、髪の毛の長さに応じたおすすめの髪型を紹介します。
ショートヘアの場合は、着物に合わせてタイトにまとめると、上品な印象になります。髪を片側に寄せて動きを出したり、髪飾りを付けて華やかさをプラスしたりするのもおすすめです。
髪が肩に付く長さなら、シニヨンや夜会巻きなどのアップスタイルにすることで、上品で落ち着いた雰囲気になります。
アップスタイルにできない場合は、ハーフアップなどですっきりまとめましょう。
ロングヘアの場合は、アップスタイルでしっかりまとめましょう。
ロングヘアはさまざまなヘアアレンジが可能な長さですが、入学式に参加する母親という立場であれば、シンプルにまとめるのがおすすめです。
編み込みをたくさん入れる、ボリュームを出しすぎる、後れ毛をたくさん出す、といった個性的なヘアスタイルは控えた方が無難でしょう。
着物には「かんざし」を使うのが一般的です。
かんざしを選ぶ際は、古風なものや、パールが付いたものなど、上品でさりげないものがおすすめです。
大振りの花が付いたかんざしを用いたり、いくつも髪飾りを付けたりするのは、子どもが主役の入学式では控えましょう。
かんざしがない場合は、バレッタやヘアピンを使っても問題ありません。
慶事で着物を着る際は、バッグや履物も着物に合わせるのが一般的です。ここでは、着物に合う小物の選び方を紹介します。
着物の格式に合わせて、バッグも上品な着物用のものを合わせましょう。礼装の場合は、草履と素材を合わせるのが一般的です。
洋装用のバッグを持つ場合は、金具が着物に引っかからないものを選ぶとよいでしょう。
和装用の草履を着用しましょう。
入学式は華やかなシーンなので、明るい色やエナメル素材の草履がおすすめです。また、草履台の高さが高いほど、格式高いとされています。
バッグと草履はセットで販売されていることが多いので、セットで購入するとコーディネートがしやすく便利です。
着物にはさまざまな決まり事がありますが、なかでも「これだけは押さえておきたい」というポイントがあります。
最後に、入学式で着物を着る際のポイントについて見ていきましょう。
入学式は子どもが主役です。保護者として出席する場合は、豪華・派手な色・柄の着物は避けましょう。髪もシンプルにまとめ、落ち着きのあるコーディネートにすれば、上品な印象を演出できます。
入学式が室内で行われる場合は、室内履きも着物に合わせたシックで上品ものを選びましょう。着物は裾が長いため、引きずって汚さないためにもヒールのあるスリッパがおすすめです。
入学式が行われる4月は、日によって寒暖の差が大きくなります。肌寒さを感じる日もあれば、急に気温が上がることもあるでしょう。快適に一日を過ごすためにも、暑さ・寒さ対策は大切です。
寒い日は、ショールなどの防寒具を用意しておくと安心です。汗ばむ陽気の日は、扇子やタオルを用意しておくとよいでしょう。
着物は湿気を嫌うため、着用前後は4時間ほど陰干しして湿気を飛ばしましょう。
その後、やわらかいタオルで埃を落とします。汚れを見つけた場合は、自己判断せず、着物専門のクリーニングに出すと安心です。
半襟は、洗える素材なら外して自宅で手洗いし、当て布をしてアイロンをかけます。正絹は縮むので、スチームはかけないでください。
小物や帯は、陰干しして湿気を飛ばしてから仕舞います。足袋は洗濯しましょう。
着物は格式高い服装のため、入学式や卒業式などの晴れの日にもぴったりです。入学式で着物を着用する際は、主役である子どもたちを引き立たせるように、上品なコーディネートを心がけましょう。
「特別な日に着物を着たい」という方は、着物のレンタルサービスを活用するのがおすすめです。着物レンタルVASARAでは、晴れの日におすすめの訪問着を多数扱っています。なかでも銀座三丁目店、新宿店では、皆様のご要望にお応えして訪問着をより多く取りそろえています。下見も受け付けておりますので、ぜひお問い合わせください。
カテゴリー
タグ