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着物大事典
着物で出かける際に、トイレはどうすればよいのか不安に思っている方は少なくないでしょう。本当は着物でいろいろな場所に行ってみたいけれど、トイレの問題があり諦めていた方もいるかもしれません。
たしかに着物でトイレに行くのは、洋服の場合とは勝手が違います。しかし、着物でのトイレの行き方は難しいものではありません。
この記事では、着物でトイレに行く際に必要なものや、スムーズに済ませる手順を解説します。なお、浴衣のときのトイレの行き方については、以下の記事を参考にしてください。
浴衣着ているときにトイレに行きたくなった! そんな時に役に立つ情報をお伝えします!!!
着物のときにトイレに行く場合、着崩れせずに済ませるためのコツをつかんでおく必要があります。ここでは、着物でトイレをスムーズに済ませる手順を解説します。
まずは裾をめくります。めくる際には袖を正面で結んだり、帯締めに挟み込んだりしてまとめておくとやりやすく、汚れ防止にもなります。帯締めに挟み込む場合は、片方ずつ脇の下辺りに入れるとよいでしょう。
大きめのクリップを準備できている場合は、クリップで袖を帯の上部に留めておくと安心です。襟もとの汚れが心配な方は、大きめのハンカチを襟の部分に挟んだり、首に巻いたりしましょう。
裾は外側から一枚ずつ、左側→右側の順番にめくっていきます。着物の裾をめくったら、長襦袢、肌襦袢、裾よけの順でめくってください。このとき、裾を左右に分けて持つのがポイントです。
めくった裾は、裏返しにしながらくるくると丸めて帯の上辺りまで上げ、腕で挟んで固定します。不安な場合は、クリップで留めるとよいでしょう。
下着を下ろしたら、このタイミングで便器のフタを開けてください。裾をめくるときは汚れたり濡れたりするのを防ぐため、フタは閉めておくのが無難です。
便座に座る際は、帯が潰れないようになるべく浅く座りましょう。通常よりもボリュームがある帯の場合、前傾姿勢になるとさらに安心です。
用を足したあと、立ち上がり水を流しますが、水跳ね防止のために便器のフタを閉めてから流してください。便座に座って用を足すまでの流れのなかでは、裾が落ちてこないように、挟んだ両腕の脇を固定しておくことが重要です。
めくった裾を戻す際は、汚れや水濡れ防止のため便器から離れて行ないます。裾をクリップで留めていた場合は、まずクリップを外しましょう。
外した裾を両手で持ち、裾よけをまず戻します。そのあと肌襦袢、長襦袢、最後に着物といったように、裾をめくったときと逆の順番で戻します。順番を間違えると、着崩れの原因となるため注意してください。裾は、シワやヨレを整えながら戻すのもポイントです。
水濡れ防止のため、まとめた袖は手を洗ったあとに戻します。ただし、袖を正面で結んでいる場合は、手洗いの際に邪魔になるため、後ろに結び直したり留め直したりするとよいでしょう。
トイレから出る前に、どこか着崩れしているところがないか鏡で確認します。まずは、襟もとが崩れていないかチェックしましょう。正しい襟もとは、正面から見たときにきれいなy字になっています。
もし襟もとが緩んでいたら、以下の手順で調整してください。
これで整ったy字の襟もとになりますが、鏡で見たときは逆y字になっている点に注意しましょう。
襟もとだけでなく、裾の崩れも確認しましょう。裾が崩れている場合は、おはしょりの中に手を入れて、長さやたるみを調整してください。
最後に、帯がずれたり緩んだりしていないかをチェックします。帯が緩んでいる場合は、帯の結び目の下辺りにハンカチを挟み込むとよいでしょう。
着物でトイレに行く際には、事前に準備をしておくことも重要です。ここでは、着物でトイレに行くときの必需品を3つ紹介します。
着物を着る際には、ウエスト部分が帯や腰紐で固定されます。ハイウエストタイプの下着だと、トイレで下着を帯の下から引っ張り出さなければならず、着崩れの原因にもなりかねません。
着崩れ防止のためにも、着物のときは帯や腰紐に重ならないように、ローライズタイプの下着を履くようにしましょう。腰骨の辺りにゴムが来るものが最適で、ノンラインのボクサータイプやビキニタイプがおすすめです。
着物に慣れていない方や、適したローライズの下着が見つからない方は、和装用ショーツも検討しましょう。クロッチ部分が股割れになっているタイプなら、トイレも簡単に済ませられます。
着物用のクリップを3~4個用意しておくと、トイレの際に便利です。袖や裾をクリップで留めておけば、うっかり手を離して床に着物がついてしまう事態も防げるでしょう。
着物用のクリップは着物や帯が傷まない工夫がされており、挟む力も強いため、厚手の着物でも安心して使えます。大小さまざまなものがありますが、大きめのものを選ぶのがおすすめです。
おもに着付けの際に活用される着物用クリップは、目盛りが付いているタイプもあります。目盛り付きのものを選べば、帯のたれの長さを測るなど、トイレ以外にも活用の幅が広がるでしょう。
ちなみに、大きめのクリップや洗濯ばさみも着物用クリップの代用として使えますが、生地が傷むのを防ぐため、なるべくやさしく挟んでくれるものを選びましょう。
なお、小さなペーパークリップやヘアクリップは挟む面積が狭く、トイレの途中でクリップが外れて袖や裾が落ちてくるおそれがあるため避けてください。
トイレで顎を引いたり下を向いたりする際に、着物や半襟にファンデーションなどが付かないよう、大きめのハンカチがあると便利です。襟の部分に挟んだり首に巻いたりしておけば、着物が汚れるのを防げます。
大きさは直径50センチほどあれば、首に巻くこともできるでしょう。ハンカチは手を拭いたり汗を拭ったりする際も使用するため、少なくとも2枚は用意してください。
また、ハンカチは帯が緩んだ際の応急処置でも使えます。ハンカチを畳んで帯の隙間に入れると帯の緩みが改善されるので、その分のハンカチも用意すると安心です。
着物のときにトイレをスムーズに済ませるためには、トイレ選びも重要です。着物を汚さないためにも、向いているトイレの特徴を押さえておきましょう。
着物のときは、和式よりも洋式トイレのほうが向いています。
昔は日本のトイレは和式が主流だったため、着物なら和式のほうが向いているのではと考える方もいるでしょう。しかし現代では、着物のときでもほとんどの方が洋装下着を着用するため、和式トイレには向いていません。
しかも着物に慣れていないため、しゃがむときなどに袖や裾が床に付いて汚れるリスクも高くなります。一方で洋式トイレなら、床に袖や裾が付きにくく、便器にフタもあり水跳ね防止にもなるため安心です。
また、ボリュームのある帯などが壁に当たって崩れるのを避けるため、個室内が広めのトイレを選ぶようにしてください。
着物は洋服よりも汚れるリスクが高いため、できるだけ清掃が行き届いた清潔なトイレを使いましょう。ただし、清掃直後は床が濡れており、袖や裾が汚れる可能性が高いため注意してください。
個室が広く清掃が行き届いている洋式トイレは、有名な観光施設によくあります。どうしても適したトイレが見つからないときは、公共施設や商業施設のトイレを借りることも選択肢として考えておきましょう。
着物でトイレに行くのは不安かもしれませんが、事前に必需品を用意し、正しい手順に沿って行なえば心配ありません。個室内が広い洋式トイレで、清潔なところを使えばなお安心です。
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