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着物大事典
自分で着物の着付けをする場合など、おはしょりがすっきりせずに悩んでしまう人は少なくないでしょう。シワが寄ってしまったり、膨らんだりしがちですが、着物の正面部分になりますので目立ちます。
そこで今回は、着付けのときなどに役立つ、おはしょりを美しく整えるコツなどをご紹介します。ちょっとしたポイントを押さえるだけでお悩みは解決しますので、ぜひ参考にしてみてください。
おはしょりは、着付けで長さを合わせたとき、腰で合わせた後に長い部分を折り返してできる部分を指します。実際の見た目では、締めた帯の腰の辺りまで出ている重なり部分を指します。
・おはしょりがある理由
着物は身体の首から下の長さよりも、長い寸法を着用します。そのため、余った部分をたくしあげるとおはしょりができますが、寸法が短い着物の場合は、おはしょりはできません。
・おはしょりの役割
おはしょりという余分な部分があるからこそ、適度に着丈の調整をしたり、家族間など、ある程度の範囲の身長の人と同じ着物を共有したりすることができます。
また、よく着用する着物は裾が擦れて傷んでしまうこともありますが、おはしょりがあることで、裾を切って仕立て直しもできます。
便利なおはしょりですが、布が余るため着付けの際には整え方に手間がかかります。代表例として、以下のようなお悩みが挙げられます。
・おはしょりが膨らむ
おはしょりは長さを決めて腰で結んだ後の、上半身のあまりの部分です。折り返しになっているため、きちんと整えないとぼってり厚みが出て膨らんでしまいます。
・おはしょりが長すぎる
着物の着丈寸法が身長に対して極端に長い、または腰ひもの位置が低い場合は、おはしょりが長く残ってしまいます。帯の下に、おはしょりが少し残るのが普通の着付けですが、長さによっては全体のバランスが悪くなってしまいます。
・おはしょりが足りない
逆におはしょりの長さが足りないというお悩みも多く、着物の着丈寸法が身長に対して短すぎる、または腰ひもの位置が高い場合に起こり得る現象です。長い場合は、余った部分を隠すことができますが、短い場合は調整が難しいのが悩みどころです。
・おはしょりが斜めになる
折り返してできるおはしょりは、水平に整えるのが美しい着付けです。しかし、長さを調整したときに腰ひもの位置によっては、おはしょりが斜めになることがあります。バランスが悪いため、やり直す必要もあるかもしれません。
・おはしょりがシワになる
着物は体形よりも少しゆとりがある寸法で作られているのが一般的です。そのため、着付けると多少はシワが寄る場合が多いでしょう。しかし、体形よりも身幅が極端に広い着物を着用した場合、あまった布の行き場がなくなり、おはしょりにもシワが寄りやすくなってしまいます。
次は、おはしょりを美しく整えるコツをご紹介します。上手になるにはまずは実戦が大切ですので、着付けをされている人はぜひチャレンジしてみましょう。
・膨らむときは内側を捲し(まくし)上げる
膨らむおはしょりを解消するには、おはしょりを1枚仕立てにすればよいでしょう。腰ひもで長さを調整したときにできるおはしょりは、折り返しになっているため、二重の布が重なっています。そのままでは厚みがでてしまうため、襟元に右手を差し込み、右前身頃(着る人から見た場合の左側の身頃)部分を腰ひもの位置から胸の方に下から捲し上げます。
そして、残ったおはしょりは左前身頃(着る人から見た場合の右側の身頃)のみになりますので、一枚仕立てでスッキリとします。なお、捲し上げる際には、襟元がずれないように左手で襟を固定しておくのがポイントです。
・おはしょりの長さは腰ひもで調整
おはしょりの長さはある程度、腰ひもで調整できます。おはしょりが長くなってしまう場合は腰の高い位置で結び、短すぎる場合は腰の低い位置で結びます。もし、腰ひもで調整しても長い場合は、伊達締め(だてじめ)のなかに入れて調整することもできます。ほんの少し調整しただけでも長さは変わりますので、試してみましょう。
・おはしょりは腰骨のあたりで水平をとる
おはしょりの位置で悩む場合は、腰骨の位置を一つの目安にしましょう。腰骨よりも極端に長いと長すぎます。帯下よりも5~6cmほど、おはしょりが見えているのが理想的な長さです。
なお、おはしょりを調整するのは、帯を着ける前となります。腰ひもでガッチリと固定した後や、帯を着けてからは調整が難しくなり、無理に直そうとすると着崩れを起こす可能性もありますのでご注意ください。
おはしょりの長さが上手くいかない原因として、着物の寸法が自分に合っていないことが考えられます。ある程度の寸法の対応力には優れたおはしょりですが、極端にサイズが合わない場合はどんなに着付けが上手な人でも困ってしまうでしょう。
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今回は、着付けの際に困りがちな着物のおはしょりについて、解決方法などをご紹介しました。着物の着付けは、ほんの少しのコツによって、美しく整うことができる場合も多いものです。
しかし、不慣れな人が自分で着付けするのはハードルが高いものです。着物を着用する目的に応じてプロの着付けも活用しましょう。
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