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着物大事典
帯締めは、着物の着こなしを左右する重要なアイテムの一つ。組み方や形、色合いなどさまざまな種類がありますが、帯締めをどのような格の着物に合わせればよいのか迷ってしまう人も多いでしょうか。
本記事では、帯締めの役割や帯締めの格式、種類や特徴などを詳しくご紹介します。帯締めと着物、帯の組み合わせを整理して、着物の格や季節ごとの組み合わせを楽しみましょう。
帯締は着物の帯部分に着けるもので、帯が崩れないように締める紐を指します。着崩れしないようにするための重要な役割を果たしていますが、さまざまな色、模様、素材などのバリエーションがありますので、着物の格に合わせてコーディネートのアクセントとしても楽しめます。
着物といえば、着物や帯の柄、質感などにフォーカスされがちですが、全体的な雰囲気や、まとまりを作り出すためには、帯締めなどの小物も重要なポイントとなります。
帯締めは組み紐(くみひも)という技術で作られています。この組み紐をつくる技術は、中国・朝鮮半島から奈良時代に伝わったとされています。
当初の帯締めは貴族や武家など一部の限られた身分の人たちに使われていましたが、手作業で作る「丸くげ」が普及していたようです。そして、江戸時代になってからは、一般の人々にも広がり、需要が増えてきたため、道具を使って作られるようになっていきました。現在は、伝統的な丸くげから平組み紐、レースまでバリエーションも豊富です。
帯締めには、以下のようにさまざまなバリエーションがあり、着物の格に合わせて用います。小物ではありますが、着物や帯と同様に着用する場のTPO(Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場面))に合わせるのがポイントといえるでしょう。
・平組(ひらぐみ)
スタンダードな帯締めの一つで、名の通り平たい形状に組まれているのが特徴です。一般的に、幅が広い平組は第一礼装などフォーマルな着物と合わせ、幅が狭い平組はカジュアルな着物と合わせます。幅が広く金糸や銀糸が組まれた平組を黒留袖など格式の高い着物と合わせるのをよく見られます。
・丸組(まるぐみ)
丸く筒状に組まれているのが特徴の帯締めです。平組の次に格が高く、多色使いで太く華やかな丸組は振袖と合わせることが多く、一般的な太さの丸組はややカジュアルな着物に合わせることができます。この丸組は裏表がなく結びやすいことも特徴となりますので、着付けが不慣れな初心者でも扱いやすい帯締めです。柄やカラーなどバリエーションが多く、着物とのコーディネートが楽しめます。
・角組(かどぐみ)
四角のように直方体で組まれているのが特徴です。やや幅は狭く、小紋や紬などカジュアルな着物に合わせることが多いでしょう。収縮性に富んでいるために結びやすく、カラーバリエーションも豊富にありますので、着物や帯との組み合わせを気軽に楽しめます。
ここからは、帯締めの種類と特徴を見ていきましょう。
・高麗組(こうらいぐみ)
高麗組みは、平組の一種となり、組目が細かく重厚な質感が特徴です。黒留袖や色留袖、訪問着など格式高い着物、帯と合わせるのが基本です。しっかりとした素材であるため、金糸・銀糸が組まれた帯は結ぶときにはコツが必要ですが、高級感のある着こなしが実現します。
・笹浪組(ささなみぐみ)
笹浪組は平組の一種で、組目がさざ波のような模様が浮き出ているのが特徴です。組み方そのものがデザインの一つになっているため、無地などのシンプルな場合でもアクセントになる帯締めです。さりげないおしゃれを楽しみたい人に好まれています。
・平田組紐(ひらぐみひも)
平田組紐は、平組、角組の一種となり、夏用の着物に合わせます。平組の一種とはいえ、訪問着や付け下げなどのフォーマルな着物には使わないのが一般的です。小紋や紬などカジュアルな着物に向いています。
・唐組(からくみ)
唐組は平組や丸組の一種で、連続したひし形の組模様が特徴です。唐(昔の中国)から伝わってきた組み方であることから唐組とされています。上品で高級感があり、訪問着などフォーマルな着物から普段着まで合わせることができます。
・冠組(ゆるぎぐみ)
冠組は角組の一種で、貴族や武家など身分の高い人の冠(かんむり)に使われていたことが名前の由来とされています。金糸や銀糸が組まれた冠組は、フォーマルな着物によく似合います。中心から分かれるように組まれているのが特徴で、厚みがあり、伸縮性に富むことから、平たい形状でも結びやすく、着付け初心者にも扱いやすい帯締めです。
・御岳組(みたけぐみ)
御岳組は角組の一種で、連続した細やかな模様があるのが特徴です。組み紐としては、太いほうではなくやや細身です。初心者でも結びやすく、普段着の着物と合わせてワンポイントのコーディネートを楽しめます。
・丸くげ(まるくげ)
丸くげは筒状になった布の中に綿を詰めて作られているのが特徴です。組み紐のように編み込まれてはいませんので、平組や角組などとは異なる質感です。軽やかな雰囲気があり扱いやすいため、カジュアルな着物や子どもが着用する着物などでも使われることが多いでしょう。近年は、アンティーク着物などを用いた個性的な着こなしのアクセントとして使われるケースも増えています。
・三分紐(さんぶひも)
三分紐は平たい形状の帯ですが、一般的には帯留めを使って締める帯締めです。格は低くなるため、小紋や紬、浴衣などにも合わせられます。ごく普通の高麗組みなどの帯締めは正面の中央で帯を結びますが、三分紐は結び目が後ろになり、正面には帯留めをあしらいます。帯留めがアクセントになり、コーディネートに楽しさを与えてくれます。
・レース
レースの帯締めは、主に夏の季節に限定されています。透け感のあるデザインは、見ている人にも涼しげな雰囲気を感じてもらえるアイテムです。絽(ろ)や紗(しゃ)、麻など、夏の着物にぜひ合わせたい帯締めです。金糸や銀糸が使われているレースの帯締めもありますので、フォーマルな着物にもよく似合うでしょう。ただし、黒留袖や色留袖などの格が高い着物の場合は避けたほうがよいでしょう。
帯締めは、着物のアイテムのなかでは小さいですが、全体の着こなしを左右するポイントになり得ます。ご紹介したように、沢山の形や組み方の種類がありますので、着物との合わせ方を理解しながら、季節ごとのコーディネートを楽しんでみてはいかがでしょうか。
レンタル着物のVASARAでは、着物と帯締めなどの小物の組み合わせもお気軽にご相談いただけます。どれを選べばよいかわからない・・・という場合にもTPOに合ったコーディネートをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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