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着物大事典
お子さまにとって、ご入園・ご入学は、それまでの慣れた環境を越えて新しい環境(社会生活・集団生活)に臨むための重要な一日です。これからはじまる新しい生活に希望に満ちあふれているのと同時に、未知の環境へ踏み出すことへの不安に心が揺れていることもあるかもしれません。保護者として、お子様の不安や心配を取り除いてあげるのも大事な役割ですが、保護者同士の社交の場のデビューとしてしっかり他の保護者の方との関係性を築きたいと思う方もいらっしゃるかと思います。
一時は「子供が主役なのに目立ちすぎる」「動きずらい」などの声で着物離れが進む時期がありましたが、本来、準礼装や略礼装で出席することは、学校側には感謝を伝え、お子様には応援の気持ちを伝えるという意味合いもありました。洋服でもスーツやワンピースなどフォーマルな服装をするように、和装の場合もフォーマルな装いに当たる訪問着、附下げ、色無地など準礼装や略礼装の着物を着用するのがふさわしいのです。
最近では、フォーマルな場で和服で出席したいという方も増えてきており、「ご両親がお子様をしっかりとサポートできる体制にある」という印象を持たれたいというご要望や、着物をきっかけに日本全体が日本文化を大切にしようという動きが強まっていたり、着物レンタル店などフォーマルワンピースを購入するより手軽に利用できるサービスが拡充してきているという背景もあります。そんな時、気を付けたいのが着物の作法や心遣い。若いご夫婦だと知らないことも多く気苦労されることも多いかもしれませんが、お子様をお祝いしよう・サポートしようという気持ちが表に現れていれば大丈夫です。そうはいっても最低限のマナー・エチケットを知って安心しておきたいという方もいると思いますので、着物を入学式で着るときの注意したいポイントをご紹介します。
小学校・中学校・高校の入学式で褒められるお着物の種類は、訪問着・色無地・紋付き附下げ(つけさげ)です。よく、「入学式に訪問着を着るのは非常識なのではないか」と気にされる保護者様がいますが、訪問着は礼装なので非常識ではありません。(式典中におしゃべりをする保護者の方がむしろ目立ってしまいますよね。)着物を着ると目立つので注目はされやすいとは思いますが、そこできちんとした立ち居振る舞いができていると良い印象を受けます。
訪問着を選ぶ際には、柄が派手過ぎないもの、季節を考慮した柄になっているもの、色が派手過ぎないもの(黒は避ける)を選ぶようにしましょう。帯も金がふんだんに施されていたり、大きな柄や強調的な色柄が入っていないものを選ぶと良いです。
訪問着によく似ている附下。訪問着と附下は何が違うかわかりづらいという声を多く聞きます。呉服屋さんがいう言い方と職人さんがいう言い方と所説ありますが、着る側が共通認識として持っていただきたいのは、「附下=控えめなフォーマル着」ということです。素人がみて、訪問着か附下かわかりづらいものを選ぶより、パッと見て「控えめなフォーマル着物を着ている品のあるお母さまだな」と印象をもっていただければOKなので、あまり訪問着や附下の色柄に拘り過ぎず、控えめでTPOをわきまえた常識ある大人の女性と印象を持たれることを意識すれば大丈夫です。
派手にみえるかどうか迷った場合は、色無地を選ぶと良いでしょう。
訪問着よりも質素にかつ上品に装いたい場合、色無地がおすすめです。色無地であれば帯は小ぶりの柄の帯を使い帯揚や帯締めも若草色、淡いピンクなどで合わせると目立ち過ぎずかつ品よくなりますので失敗しずらいコーディネートが可能です。
1つ目が、誰かの為に着物を着る場合、主役の方より派手になりすぎないことが重要です。洋服同様、オシャレと身だしなみの違いをわきまえて装いを選ぶということですね。
2つ目が、TPOをわきまえた着付をしていること。
着ぶくれしないように着たいというお気持ちもわかりますが、粋に魅せたいという気持ちが強く出過ぎて衿を開けすぎたり、衿を抜きすぎたりして逆に無粋になってしまうことを避けましょう。顔が逆三角形や面長の人や首が細い人は衿を少し少な目に抜き、衿元を詰めます。顔が丸型や卵型の方や首が太い人は衿元をゆったりめに詰め、衿を少し多め(最大こぶしがすっぽり1個入る程度)に抜きます。
入学式で重要なのは、お子さまをお祝いする気持ち」が伝わる身だしなみになっていること。ですので、大きな髪飾りやトップにボリュームがあり過ぎて華やかになり過ぎ夜の印象を与えるような盛り過ぎな髪型はTPOに合っていないと考えましょう。
髪飾りを付けなくてもまとまる長さであれば、まとまりますので、ご自身で髪の毛をアレンジする場合は「くるりんぱ」や「ギブソンタッグ」または「三つ編み・編み込み」でまとめると控えめにまとまります。
毛先がまとまるように軽くコテなどで内巻きにし、ブローをしっかりして艶を出すと清潔感があり印象よくなります。しっかり巻き過ぎると古い感じになるので、180度のストレートヘアアイロンで髪の毛を通す程度にするとニュアンスが増します。
レースの足袋やビジューが付いた足袋などいろいろな種類が最近はありますが、礼装なので白の足袋にしましょう。
・かえし(無い場合は、薄手のハンカチ)
・ティッシュ・ウエットティッシュ(手をふきたいとき、なにか汚れが付いたときにウェットティッシュは重宝します)
・リップとファンデ―ション、アイブロウ
いかがでしたか?なかなか子育てで忙しく時間に追われてしまうことも多いかと思いますが、お子様にとって一生に一度の行事です。お子様の節目となる日にご家族でしっかりと成長をお祝いし、これから様々なことにチャレンジするお子さまの不安を取り除いてしっかりと応援してあげたいですね!
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